化粧水や乳液を肌につけた瞬間、ヒリヒリと痛いと感じたことはありませんか。
本来、肌を健やかに保つために行うスキンケアで痛みを感じるのは、何らかの異常が起きているサインです。
その原因は、化粧品が肌に合わない場合もあれば、肌のバリア機能が低下している場合もあり、放置すると症状が悪化することもあります。
本記事では、スキンケアで痛いと感じる原因と、その対処法や予防策について詳しく解説していきます。
スキンケアで痛いと感じる主な原因
スキンケアで痛いと感じる主な原因は、肌のバリア機能の低下、化粧品の成分による刺激、肌トラブルの存在です。
健康な肌であれば、通常のスキンケアで痛いと感じることはありません。痛いと感じるということは、肌が何らかのダメージを受けていたり、使用している化粧品が肌に合っていなかったりする証拠です。
最も一般的な原因は、肌のバリア機能の低下です。肌の最も外側にある角質層には、外部刺激から身体を守るバリア機能があります。このバリア機能が低下すると、通常では問題ない化粧品でも刺激として感じられ、痛いと感じることにつながります。バリア機能は、乾燥、摩擦、紫外線、睡眠不足、ストレスなど様々な要因で低下します。
化粧品に含まれる成分が刺激になっていることもあります。アルコール(エタノール)、香料、防腐剤、ピーリング成分、レチノール、ビタミンC誘導体など、効果の高い成分や刺激性のある成分が、肌に痛いと感じさせることがあります。特に濃度が高い製品や、自分の肌に合わない成分が含まれている場合に起こりやすいです。
既に肌トラブルがある状態でスキンケアをすることも、痛いと感じる原因になります。ニキビ、湿疹、かぶれ、傷など、肌に炎症や損傷がある部分に化粧品をつけると、痛いと感じます。これは、ダメージを受けた肌が敏感になっているためです。
洗顔のしすぎやゴシゴシこすることによって、肌表面が傷ついている場合もあります。物理的に肌が傷ついていると、どんな化粧品をつけても染みたり痛かったりします。
また、季節や体調の変化で肌が一時的に敏感になっている場合もあります。花粉の時期、季節の変わり目、生理前、疲労が溜まっている時などは、普段使っている化粧品でも痛いと感じることがあります。
さらに、化粧品の使い方が間違っている場合も痛いと感じることにつながります。使用量が多すぎたり、強くパッティングしたり、古くなった化粧品を使ったりすると、肌に負担がかかり痛いと感じることがあります。
まれに、化粧品に対するアレルギー反応が起こっていることもあります。特定の成分にアレルギーがある場合、その成分が含まれる化粧品を使うと、痛い、赤い、かゆいなどの症状が出ます。
スキンケアで痛いと感じる原因は、バリア機能の低下、刺激性の高い成分、既存の肌トラブル、使用方法の誤りなど多様であり、これらが複合的に作用することもあります。
痛いと感じる感覚にも種類があり、それぞれ考えられる原因が異なります。
痛いと感じる種類と症状別の考えられる原因
スキンケアで痛いと感じる感覚には、ヒリヒリ、ズキズキ、チクチクなど種類があり、それぞれ原因が異なります。
どのように痛いと感じるかは、肌の状態や原因によって変わります。どのような痛さを感じるかを観察することで、原因を特定しやすくなります。
ヒリヒリ・ピリピリと痛い
ヒリヒリ、ピリピリと表面的に痛いと感じるのは、最も一般的なスキンケアでの痛さです。
この痛さは、化粧品を塗った瞬間や直後に感じることが多く、肌の表面がチリチリと刺激を受けているような感覚です。軽度の場合は数秒から数分で治まることもありますが、症状が重い場合は長時間続くこともあります。
ヒリヒリと痛いと感じる主な原因は、肌のバリア機能の低下です。角質層が薄くなっていたり、乾燥していたりすると、化粧品の成分が肌の深い部分まで浸透しやすくなり、刺激として感じられます。特に、目元や口元など皮膚が薄い部分で痛いと感じやすい傾向があります。
化粧品に含まれるアルコールも、ヒリヒリと痛い大きな原因です。アルコールは揮発する際に肌の水分を奪うため、乾燥している肌やバリア機能が低下している肌では、強い刺激となり痛いと感じます。さっぱりタイプの化粧水には、アルコールが多く含まれていることがあります。
ビタミンC誘導体やレチノールなどの美容成分も、使い始めの時期はヒリヒリと痛いと感じることがあります。これらは効果が高い反面、刺激性もあるためです。濃度が高いほど、痛いと感じる度合いは強くなる傾向があります。
また、洗顔後すぐに化粧品をつけた時にヒリヒリと痛い場合は、洗顔のしすぎや洗浄力の強い洗顔料の使用が原因かもしれません。洗顔によって必要な皮脂まで取り除かれ、肌が無防備な状態になっているためです。
ズキズキと痛い
ズキズキと奥から響くように痛いのは、より深刻な状態を示している可能性があります。
この痛さは、表面的なヒリヒリとは異なり、肌の内部から痛さが湧き上がってくるような感覚です。脈打つように痛かったり、じわじわと痛さが広がったりすることがあります。
ズキズキと痛い原因として最も考えられるのは、炎症が起きている状態です。ニキビ、吹き出物、かぶれ、湿疹など、肌に炎症があると、そこに化粧品をつけることでズキズキと痛いと感じます。特に赤く腫れたニキビや、炎症を起こしている部分では顕著です。
日焼けによるダメージも、ズキズキと痛い原因になります。紫外線で肌が炎症を起こしていると、化粧品をつけた時に痛いと感じます。軽い日焼けでも、肌の内部ではダメージが進行していることがあります。
また、化粧品に対するアレルギー反応が起こっている場合も、ズキズキと痛いと感じることがあります。アレルギー反応では、赤み、腫れ、かゆみなどの症状と一緒に、深く痛いと感じることがあります。
さらに、傷がある部分に化粧品がしみることでも、ズキズキと痛いと感じます。ニキビを潰した跡や、掻きむしった傷、髭剃り負けなど、目に見えない小さな傷でも痛いと感じることがあります。
チクチクと痛い
チクチク、ピンポイントで痛いと感じるのは、特定の部分に集中して感じられます。
この痛さは、針で刺されるような鋭い感覚で、顔全体ではなく、ある特定の箇所だけに痛いと感じることが多いです。痛い場所が移動したり、複数の箇所で同時に感じたりすることもあります。
チクチクと痛い原因として、微小な傷や肌荒れが考えられます。目に見えないほど小さな傷や、角質が剥がれかけている部分に化粧品がしみることで、ピンポイントで痛いと感じられます。
乾燥が非常に進んでいる場合も、チクチクと痛いと感じることがあります。肌が極度に乾燥すると、角質が硬くなったり、細かいひび割れができたりして、そこに化粧品が入り込むことで痛いと感じます。
また、毛穴の炎症もチクチクと痛い原因になります。毛穴の中で炎症が起きていると、化粧品の成分が毛穴に入った時に痛いと感じることがあります。
敏感肌の方では、化粧品に含まれる特定の成分が肌の神経を刺激して、チクチクと痛いと感じることもあります。これは、成分自体が合わないことを示しているサインです。
このように、ヒリヒリと痛いのはバリア機能の低下や刺激成分、ズキズキと痛いのは炎症や傷、チクチクと痛いのは微小な損傷や極度の乾燥が原因であることが多く、痛さの種類によって対処法も変わってきます。
それでは、痛いと感じた時はどうすれば良いのでしょうか。
痛いと感じた時の応急処置と対処法
スキンケアで痛いと感じた場合は、すぐに使用を中止し、肌を落ち着かせることが最優先です。
痛いと感じているのに「もったいない」「慣れるかも」と使い続けるのは危険です。適切な応急処置を行うことで、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。
まず、痛いと感じた化粧品をすぐに洗い流しましょう。ぬるま湯で優しく洗い流します。この時、洗顔料を使う必要はありません。むしろ、洗顔料を使うとさらに刺激を与えてしまう可能性があるため、水かぬるま湯だけで十分です。ゴシゴシこすらず、流水で優しく流します。
洗い流した後は、清潔なタオルで優しく水気を取ります。タオルは押し当てるようにして使い、こすらないことが重要です。古いタオルや硬いタオルは避け、柔らかく清潔なタオルを使いましょう。
洗顔後は、基本的には何もつけずに肌を休ませます。「保湿しなければ」と考えがちですが、痛いと感じている状態の肌に新たな化粧品をつけることは、さらなる刺激になる可能性があります。まずは肌を落ち着かせることを優先しましょう。
ヒリヒリと痛い場合は、冷やすことが効果的です。清潔なタオルを冷水で濡らし、軽く絞ってから痛い部分に優しく当てます。氷を直接肌に当てるのは刺激が強すぎるため避けてください。冷やすことで、炎症を抑え、痛さを和らげることができます。
痛いと感じる状態が治まった後、どうしても乾燥が気になる場合は、最小限の保湿を検討します。この場合、ワセリンなど刺激の少ないシンプルな保湿剤を薄く塗る程度にとどめます。ワセリンは成分がシンプルで、肌に浸透せず表面を保護するだけなので、刺激になりにくいです。
その日の夜や翌日のスキンケアも、シンプルにすることが大切です。痛いと感じる状態が完全に治まるまでは、普段使っている刺激の少ない化粧品だけを使い、美容液やクリームなど複数のアイテムは避けます。洗顔も、洗顔料を使わずぬるま湯だけで洗うか、低刺激性の洗顔料を使って優しく洗います。
また、痛いと感じた原因を特定することも重要です。新しい化粧品を使い始めた直後であれば、その製品が原因の可能性が高いです。以前から使っている化粧品で痛いと感じた場合は、肌の状態が変化していることが考えられます。
痛いと感じる状態が数時間から1日程度で治まり、赤みや腫れなどの他の症状がなければ、自然に回復を待っても良いでしょう。ただし、痛いと感じる状態が続く場合や、他の症状が現れた場合は、次のステップに進む必要があります。
痛いと感じている間は、以下のことを避けてください。メイク、新しい化粧品の使用、顔を触ること、熱いお湯での洗顔、スクラブやピーリングなどの刺激的なケア、マッサージ、長時間の入浴などです。これらは、すべて肌にさらなる刺激を与える行為です。
痛いと感じた時は、原因となる化粧品をすぐに洗い流し、肌を冷やして休ませることが基本であり、無理に保湿しようとせず、シンプルなケアにとどめることが重要です。
では、痛いと感じることを繰り返さないためには、どうすれば良いのでしょうか。
痛いと感じることを繰り返さないための予防法
スキンケアで痛いと感じることを予防するには、肌のバリア機能を維持し、刺激の少ない製品を選ぶことが大切です。
一度痛いと感じる経験をすると、スキンケアに対して不安を感じるようになります。しかし、適切な予防策を取ることで、痛いと感じることなく快適にスキンケアを続けられます。
まず、肌のバリア機能を健康に保つことが最も重要です。バリア機能を維持するためには、保湿を丁寧に行うことが基本です。化粧水で水分を与え、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。特に乾燥しやすい季節や環境では、いつもより念入りな保湿を心がけましょう。
洗顔方法を見直すことも予防につながります。洗顔のしすぎや強くこすることは、バリア機能を低下させる大きな原因です。洗顔は1日2回まで、たっぷりの泡で優しく洗い、すすぎも丁寧に行います。熱いお湯ではなく、ぬるま湯(32〜34度程度)を使うことも大切です。
化粧品選びでは、刺激の少ない製品を選ぶことが重要です。アルコールフリー、無香料、無着色、パラベンフリーなど、刺激になりやすい成分が含まれていない製品を選びましょう。敏感肌用やアレルギーテスト済みの製品も安全性が高いです。
新しい化粧品を試す際は、必ずパッチテストを行います。腕の内側など目立たない部分に少量塗り、24〜48時間様子を見てから顔に使用します。パッチテストで問題がなくても、最初は少量から始め、徐々に量を増やしていくと安全です。
また、一度に複数の新しい化粧品を使い始めないことも大切です。新しいアイテムは一つずつ導入し、1〜2週間様子を見てから次のアイテムを追加します。こうすることで、もし痛いと感じる問題が起きても原因を特定しやすくなります。
化粧品の使用量や使い方も、説明書に従いましょう。多く使えば効果が高まるわけではなく、むしろ肌に負担をかけることがあります。適量を優しく塗ることが基本です。強くパッティングしたり、ゴシゴシこすったりするのは避けましょう。
紫外線対策も、バリア機能を守るために重要です。紫外線は肌にダメージを与え、バリア機能を低下させます。日焼け止めを毎日使用し、帽子や日傘も活用して、紫外線から肌を守りましょう。
生活習慣の改善も、肌の健康維持に役立ちます。十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理などは、すべて肌のバリア機能をサポートします。特に睡眠中は肌の修復が行われるため、質の良い睡眠を取ることが大切です。
季節の変わり目や体調が優れない時は、肌が敏感になりやすいです。このような時期は、いつもより慎重にスキンケアを行い、刺激の強い製品の使用は控えましょう。新しい化粧品を試すのも、肌の調子が良い時期に限ります。
また、化粧品の保管方法や使用期限にも注意が必要です。直射日光や高温多湿を避けて保管し、開封後は3〜6ヶ月程度で使い切ることが推奨されます。古くなった化粧品は、成分が変質して刺激になり、痛いと感じることがあります。
肌の状態を日々観察することも予防につながります。少しでも違和感を感じたら、その時点でケアを見直しましょう。小さなサインを見逃さないことが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。
痛いと感じることを予防するには、バリア機能の維持、刺激の少ない製品選び、正しい使用方法、生活習慣の改善など総合的なアプローチが必要であり、日々のケアの積み重ねが健やかな肌を作ります。
ただし、適切なケアをしていても痛いと感じる場合は、医療機関の受診を検討すべきです。
医療機関を受診すべき痛いと感じるサイン
スキンケアで痛いと感じる症状の中には、専門的な治療が必要なものもあります。
多くの場合、軽度に痛いと感じる状態は適切な対処で数日のうちに改善します。しかし、以下のような症状がある場合は、自己判断せず、医療機関を受診することをおすすめします。
まず、痛いと感じる状態が3日以上続く場合です。応急処置を行い、刺激を避けているのに痛いと感じる状態が治まらない場合は、より深刻な肌トラブルが起きている可能性があります。放置すると、症状が悪化したり、長期的なダメージにつながったりすることがあります。
痛いと感じる度合いが日に日に強くなっている場合も、受診が必要です。時間とともに改善するどころか、悪化していくのは、炎症が進行している証拠です。早めに適切な治療を受けることで、症状の悪化を防げます。
痛いと感じることに加えて、他の症状が現れた場合も注意が必要です。広範囲の赤み、顔全体の腫れ、膿が出る、水ぶくれができる、皮膚がただれる、出血するなどの症状が伴う場合は、すぐに受診しましょう。これらは、重度の炎症やアレルギー反応、感染症などの可能性があります。
発熱や体調不良を伴う場合も、受診が必要です。肌の症状だけでなく、全身症状が出ているということは、より深刻な反応が起きている可能性があります。
何をしても痛いと感じる状態が和らがない場合や、日常生活に支障が出るほど痛い場合も、専門家に相談すべきです。我慢しすぎると、精神的なストレスも大きくなります。
また、痛いと感じることを繰り返す場合も、受診を検討しましょう。一度治まったのに、スキンケアをするたびに痛いと感じる、どの化粧品を使っても痛いと感じるという場合は、肌に慢性的な問題がある可能性があります。根本的な原因を特定し、適切な治療を受ける必要があります。
過去にアレルギーの経験がある方で、痛いと感じることと共にかゆみや腫れが出た場合は、早めに受診しましょう。アレルギー反応は、繰り返すたびに症状が強くなることがあります。
目の周りや唇など、特に敏感な部分で強く痛いと感じた場合も、慎重に対処すべきです。これらの部分は皮膚が薄く、ダメージを受けやすいため、早めの対応が重要です。
受診する際は、以下の情報を伝えられるように準備しておくと良いでしょう。いつから痛いと感じ始めたか、どのように痛いか(ヒリヒリ、ズキズキなど)、使用した化粧品の名前と成分、痛い以外の症状はあるか、過去に同様の経験があるか、などです。可能であれば、使用した化粧品を持参すると、診断に役立ちます。
また、市販の薬を自己判断で使用するのは避けた方が良いです。ステロイド外用薬などは、誤った使い方をすると症状を悪化させることがあります。専門家の診断を受けてから、適切な治療を行いましょう。
微妙な判断が必要な場合は、ご相談ください。「この程度で受診して良いのか」と迷う場合でも、不安があれば相談することが大切です。早期発見、早期治療が、肌の健康を守る最善の方法です。
医療機関を受診すべきサインは、痛いと感じる状態が3日以上続く、悪化している、他の症状を伴う、繰り返すなどであり、これらの場合は自己判断せず専門家に相談することが肌の健康を守るために重要です。





