乾燥肌がなかなか改善せず、皮膚科に行くべきか迷っている方は少なくありません。
市販の保湿剤を試しても効果が感じられない、かゆみが続いて辛いという場合、皮膚科を受診することで適切な治療を受けられる可能性があります。
乾燥肌は単なる肌質の問題だけでなく、皮膚疾患が隠れていることもあるため、症状によっては専門家の診断を受けることが大切です。
本記事では、乾燥肌で皮膚科に行くべきかどうかの判断基準や、受診した場合の治療内容について詳しく解説していきます。
セルフケアで改善しない乾燥肌は皮膚科を受診した方がよい?
セルフケアを続けても改善しない乾燥肌は、皮膚科を受診した方がよいといえます。
乾燥肌の多くは、適切な保湿ケアや生活習慣の改善によって症状を和らげることができます。しかし、市販の保湿剤を使い、生活習慣にも気をつけているのに一向に良くならない場合は、皮膚科の受診を検討すべきタイミングかもしれません。
皮膚科を受診すべき理由のひとつは、自己判断では気づきにくい皮膚疾患が隠れている可能性があるからです。乾燥肌だと思っていた症状が、実はアトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患であったというケースは珍しくありません。これらの疾患は、一般的な保湿ケアだけでは改善しにくく、適切な治療が必要になります。
また、皮膚科では市販品よりも保湿効果の高い医療用の保湿剤を処方してもらえます。医療用の保湿剤は有効成分の濃度が高く、肌のバリア機能を回復させる効果が期待できます。セルフケアで使用していた保湿剤では効果が不十分だった方でも、処方薬に切り替えることで改善するケースが多くあります。
皮膚科を受診することに対して、大げさではないか、乾燥肌くらいで行っていいのかと躊躇する方もいるかもしれません。しかし、乾燥肌は放置すると悪化してかゆみや炎症を引き起こしたり、肌のバリア機能がさらに低下して敏感肌になったりすることがあります。早めに受診して適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、肌の状態を改善することができます。
セルフケアで改善が見られない乾燥肌は、皮膚科で専門家に診てもらうことをおすすめします。
では、具体的にどのような症状があれば皮膚科を受診すべきなのでしょうか。目安となる症状を見ていきましょう。
乾燥肌で皮膚科に行くべき症状の目安
乾燥肌で皮膚科に行くべき症状の目安は、かゆみや赤みが続く場合、市販品で改善しない場合、皮膚疾患が疑われる場合の3つです。
乾燥肌のすべてが皮膚科の受診を必要とするわけではありません。軽度の乾燥であれば、セルフケアで十分に対処できることも多いです。しかし、以下のような症状がある場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
かゆみや赤みが続く場合
乾燥肌に伴うかゆみや赤みが長期間続いている場合は、皮膚科の受診を検討すべきサインです。
軽い乾燥であれば、保湿ケアを行うことで数日から1週間程度で症状が和らぐことが多いです。しかし、保湿をしっかり行っているにもかかわらず、2週間以上かゆみや赤みが続く場合は、単なる乾燥肌ではなく、何らかの皮膚トラブルが起きている可能性があります。
かゆみが強くて夜眠れない、無意識に掻いてしまい肌を傷つけている、掻いた部分がジュクジュクしているといった状態であれば、早めに皮膚科を受診しましょう。掻き壊しによって肌が傷つくと、そこから細菌が入って感染症を起こすこともあります。また、掻くことで炎症が広がり、症状がさらに悪化するという悪循環に陥ることもあります。
赤みが特定の部位にだけ出ている場合や、赤みに加えて皮膚が盛り上がっている、境界がはっきりしているといった場合も、皮膚疾患の可能性があるため受診をおすすめします。
市販の保湿剤で改善しない場合
市販の保湿剤を使っても乾燥肌が改善しない場合は、皮膚科で相談してみる価値があります。
ドラッグストアなどで購入できる保湿剤にはさまざまな種類がありますが、症状や肌質に合わないものを使っていると、効果を感じにくいことがあります。また、市販品は医療用に比べて有効成分の濃度が低いため、乾燥が進んでいる場合には効果が不十分なこともあります。
目安として、市販の保湿剤を1ヶ月程度使い続けても改善が見られない場合は、皮膚科の受診を検討してみてください。複数の保湿剤を試しても効果がなかった場合も同様です。自分に合った保湿剤が分からない、どの製品を選べばいいか迷っているという場合も、皮膚科で相談すると適切なアドバイスがもらえます。
また、保湿剤を塗るとかえって肌がピリピリする、赤くなる、かゆみが増すといった場合は、その製品が肌に合っていない可能性があります。このような反応が複数の製品で起きる場合は、肌が敏感になっている状態であり、皮膚科で診てもらった方がよいでしょう。
皮膚疾患が疑われる場合
乾燥肌の症状に加えて、以下のような特徴がある場合は、皮膚疾患が疑われるため皮膚科の受診をおすすめします。
アトピー性皮膚炎が疑われる場合は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し現れる、肘の内側や膝の裏側など特定の部位に症状が出やすい、子どもの頃からアレルギー体質であるといった特徴があります。アトピー性皮膚炎は適切な治療を行わないと症状が慢性化しやすいため、早めの受診が大切です。
脂漏性皮膚炎が疑われる場合は、頭皮、顔(特に眉間、鼻の周り、耳の後ろ)にフケのような皮むけや赤みが出る、かゆみを伴うといった特徴があります。乾燥肌と似た症状が出ることがありますが、原因や治療法が異なります。
乾癬が疑われる場合は、皮膚が赤く盛り上がり、その表面に白い鱗屑(りんせつ)がついている、境界がはっきりしているといった特徴があります。肘、膝、頭皮などに出やすく、一般的な乾燥肌とは異なる外見をしています。
接触性皮膚炎(かぶれ)が疑われる場合は、特定のものに触れた後に症状が出る、症状が出る部位が限られているといった特徴があります。化粧品、金属、植物などが原因になることがあります。
皮膚カンジダ症や白癬(水虫)などの感染症が疑われる場合もあります。特定の部位にだけ症状が出る、境界がはっきりしている、他の人にうつる可能性がある場合は、早めに受診しましょう。
乾燥肌で皮膚科に行くべき目安は、かゆみや赤みの持続、市販品での改善不良、皮膚疾患の疑いがある場合です。
皮膚科を受診した場合、どのような治療を受けることができるのでしょうか。
皮膚科で受けられる乾燥肌の治療内容
皮膚科で受けられる乾燥肌の治療は、医療用保湿剤の処方と、症状に応じた薬物療法が中心となります。
皮膚科では、まず問診と視診によって肌の状態を確認し、乾燥肌の原因や症状の程度を診断します。その上で、患者さんの症状に合わせた治療が行われます。
処方される保湿剤の種類
皮膚科で処方される保湿剤は、市販品よりも効果が高く、乾燥肌の改善に大きな効果を発揮することがあります。代表的な処方保湿剤について紹介します。
ヘパリン類似物質は、皮膚科で最もよく処方される保湿剤のひとつです。商品名としてはヒルドイドが有名です。ヘパリン類似物質には、保湿作用、血行促進作用、抗炎症作用があり、乾燥肌の改善に効果的です。ローション、クリーム、軟膏などさまざまな剤形があり、症状や使用部位に合わせて選ぶことができます。
尿素製剤は、角質を柔らかくする作用と保湿作用を持つ保湿剤です。ケラチナミンやウレパールなどの商品名で処方されます。肘、膝、かかとなど角質が厚くなりやすい部位の乾燥に効果的です。ただし、傷がある部位や炎症がある部位には刺激になることがあるため、使用部位には注意が必要です。
白色ワセリンは、肌の表面に油の膜を作り、水分の蒸発を防ぐ働きがあります。プロペトやサンホワイトといった精製度の高いワセリンは、刺激が少なく、敏感な肌にも使いやすいのが特徴です。他の保湿剤と組み合わせて使用されることも多いです。
セラミド配合の保湿剤が処方されることもあります。セラミドは肌のバリア機能を構成する重要な成分であり、外側から補うことで乾燥肌の改善効果が期待できます。
医師は患者さんの症状、肌の状態、使用部位などを考慮して、最適な保湿剤を選択します。同じ乾燥肌でも、人によって処方される保湿剤は異なることがあります。処方された保湿剤の使い方や塗る量についても、医師や薬剤師の指示に従いましょう。
症状に応じた薬物療法
乾燥肌に加えて炎症やかゆみがある場合は、保湿剤だけでなく、症状を抑えるための薬が処方されることがあります。
ステロイド外用薬は、炎症を抑える効果のある薬です。乾燥肌に伴う赤みやかゆみがひどい場合に処方されることがあります。ステロイドは強さによってランク分けされており、症状の程度や使用部位に応じて適切な強さのものが選択されます。ステロイドに対して不安を感じる方もいるかもしれませんが、医師の指示に従って正しく使用すれば、安全に効果を得ることができます。
タクロリムス軟膏(プロトピック)は、ステロイド以外の抗炎症薬として使用されることがあります。顔や首など皮膚が薄い部位の炎症に対して処方されることが多いです。
抗ヒスタミン薬は、かゆみを抑える内服薬です。かゆみが強くて掻いてしまう場合や、夜眠れないほどのかゆみがある場合に処方されることがあります。眠気が出るタイプと出にくいタイプがあり、生活スタイルに合わせて選択されます。
乾燥肌の原因がアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患である場合は、その疾患に対する専門的な治療が行われます。近年はアトピー性皮膚炎に対する新しい治療薬も登場しており、従来の治療で効果が不十分だった方にも選択肢が広がっています。
皮膚科での乾燥肌治療は、医療用保湿剤による保湿ケアと、必要に応じた薬物療法の組み合わせで行われます。
皮膚科を受診することには、セルフケアにはないメリットがあります。
皮膚科を受診するメリット
皮膚科を受診するメリットは、正確な診断を受けられること、効果の高い処方薬がもらえること、専門家のアドバイスを受けられることです。
乾燥肌の改善にセルフケアで取り組むこともできますが、皮膚科を受診することにはいくつかの明確なメリットがあります。
最も大きなメリットは、専門家による正確な診断を受けられることです。自分では乾燥肌だと思っていても、実は別の皮膚疾患である可能性があります。皮膚科医は見た目や症状から病態を見極める専門家であり、正確な診断に基づいた治療を受けることができます。必要に応じて、血液検査やアレルギー検査などの検査を行うこともあります。
市販品よりも効果の高い保湿剤を処方してもらえるのも大きなメリットです。医療用の保湿剤は有効成分の濃度が高く、バリア機能を回復させる効果が期待できます。また、処方薬は健康保険が適用されるため、市販の高価な保湿化粧品を購入し続けるよりも経済的な場合もあります。
専門家から正しいスキンケア方法のアドバイスを受けられるのもメリットです。乾燥肌の原因は人それぞれであり、その人に合ったケア方法も異なります。皮膚科医は、患者さんの肌の状態や生活習慣を踏まえて、具体的なアドバイスをしてくれます。間違ったスキンケアが乾燥肌を悪化させていた場合は、それを指摘してもらえることもあります。
症状が悪化したときにすぐに相談できるのも安心です。セルフケアだけでは対処が難しい急な悪化や、新たな症状が出たときに、かかりつけの皮膚科があればすぐに相談することができます。継続的に診てもらうことで、肌の状態の変化にも気づいてもらいやすくなります。
皮膚科を受診するメリットは、正確な診断、効果的な処方薬、専門家によるアドバイスを得られることにあります。
皮膚科を受診する際には、いくつか準備しておくとよいことがあります。
皮膚科を受診する際に準備しておくこと
皮膚科を受診する際は、症状の経過や使用中のスキンケア製品について整理しておくとスムーズです。
皮膚科を受診する際に事前に準備しておくことで、限られた診察時間を有効に使い、より適切な診断と治療を受けることができます。
まず、症状の経過を整理しておきましょう。いつから症状が出始めたか、どの部位に症状があるか、症状の変化(良くなったり悪くなったりするタイミング)、かゆみや痛みの程度などをメモしておくと、診察時にスムーズに伝えることができます。特に、季節や時間帯、特定の行動との関連性があれば、それも伝えると診断の参考になります。
現在使用しているスキンケア製品や保湿剤についても整理しておきましょう。製品名が分かれば伝え、可能であれば実際に持参するとより正確に伝わります。市販の保湿剤を使用していた場合は、その効果があったかどうかも伝えましょう。過去に肌に合わなかった製品があれば、それも伝えておくと処方の参考になります。
アレルギーの有無についても確認しておきましょう。食物アレルギー、金属アレルギー、薬のアレルギーなど、これまでにアレルギー反応を起こしたことがあれば伝えてください。また、アトピー性皮膚炎や喘息、花粉症などのアレルギー疾患の既往歴や家族歴も診断の参考になります。
現在服用している薬やサプリメントについても伝えましょう。他の病気で治療中の場合は、お薬手帳を持参するとよいです。処方される薬との飲み合わせを確認するためにも重要な情報です。
診察を受ける部位の状態をそのまま見せられるように準備しておくことも大切です。症状がある部位にメイクをしている場合は、可能であれば落としてから受診するか、診察時に落とせるようにメイク落としを持参しましょう。体の乾燥肌の場合は、診察しやすい服装で行くとスムーズです。
質問したいことがあれば、事前にメモしておきましょう。診察中は緊張して聞きたいことを忘れてしまうこともあります。スキンケアの方法、入浴時の注意点、生活習慣で気をつけることなど、聞いておきたいことをリストアップしておくと漏れがありません。
初めて受診する皮膚科の場合は、予約が必要かどうか、受付時間、持ち物(保険証、お薬手帳など)を事前に確認しておきましょう。混雑状況によっては待ち時間が長くなることもあるため、時間に余裕を持って行くことをおすすめします。
皮膚科をスムーズに受診するためには、症状の経過、使用中の製品、アレルギー情報などを事前に整理しておくことが大切です。
乾燥肌は適切な治療とケアによって改善できるものです。セルフケアで改善しない場合や、症状が気になる場合は、一人で悩まずに皮膚科を受診してみてください。専門家の診断とアドバイスを受けることで、肌の状態を改善する近道になることがあります。





