大人ニキビを潰すとどうなる?リスクと正しい対処法について

大人ニキビ

気になる大人ニキビを、つい指で押し出してしまったという経験はありませんか。

白い芯が見えていると、取り除けば早く治ると思いがちですが、実は大きなリスクがあります。

思春期の頃と違い、成人の肌は回復力が低下しているため、潰すことで跡が残りやすくなります。 一時的にすっきりしても、後悔することになる可能性が高いのです。

本記事では、大人ニキビを潰すとどうなるのか、そのリスクと正しい対処法をご紹介します。

大人ニキビを潰すとどうなるの?

大人ニキビを潰すと、跡が残る、炎症が周囲に広がる、悪化する、そしてクレーターや色素沈着が起こるリスクがあります。

一見、芯を出せば治りそうに見えますが、実際には多くの問題を引き起こす可能性があります。

跡が残るリスク

潰すことで最も問題となるのは、跡が残ることです。指や爪で押し出すと、周囲の皮膚組織にダメージを与え、真皮層まで傷つけてしまうことがあります。

真皮層が傷つくと、凹んだクレーター状の跡が残ります。クレーターは一度できると、自然には治らず、改善が非常に難しい跡です。美容皮膚科でレーザー治療などを受ける必要があり、時間もコストもかかります。

また、色素沈着も起こりやすくなります。炎症が起きた部分は、メラニンが過剰に生成され、茶色いシミのような跡として残ります。この色素沈着は、薄くなるまでに数ヶ月から数年かかることもあります。

潰す際の圧力によって、毛細血管が破れることもあります。これにより、赤みが残ったり、内出血のような跡ができたりすることがあります。

さらに、潰した部分の皮膚が盛り上がって、ケロイド状になることもあります。これは体質によるものですが、一度ケロイドができると治療が難しくなります。

炎症が悪化するリスク

潰すことで、炎症が悪化したり、周囲に広がったりします。

指や爪には、目に見えない雑菌が多く付着しています。潰すことで、これらの雑菌が傷口から侵入し、細菌感染を引き起こします。感染すると、ニキビが化膿したり、さらに大きく腫れたりします。

また、ニキビの中身を完全に外に出しきれず、一部が皮膚の深部に押し込まれることがあります。これにより、炎症が真皮層のさらに深い部分に広がり、より重症化します。

周囲の毛穴にも影響を与えます。潰した際に出た膿や皮脂が、隣接する毛穴に入り込み、新たなニキビを引き起こすことがあります。一つ潰したことで、複数のニキビができてしまうという悪循環に陥ります。

炎症が長引くことで、治るまでの期間も長くなります。本来なら1週間程度で治るはずのニキビが、潰したことで2週間以上かかることも珍しくありません。

跡が残り、炎症が悪化し、クレーターや色素沈着が起こるリスクがあるため、大人ニキビを潰すことは避けるべきです。

では、なぜ特に大人ニキビを潰してはいけないのか、詳しく見ていきましょう。

大人ニキビを潰してはいけない理由

大人ニキビを潰してはいけない理由は、細菌感染や炎症の悪化が起こりやすいこと、そして成人の肌は思春期の肌より跡が残りやすいことです。

思春期のニキビと同じように考えると、後悔する結果になる可能性が高いため、特に注意が必要です。

細菌感染と炎症の悪化

手や指、爪には、想像以上に多くの雑菌が付着しています。日常生活で様々なものに触れるため、見た目は清潔でも、目に見えない細菌が無数に存在します。

潰すという行為は、皮膚に穴を開けることと同じです。この穴から、手についていた雑菌が侵入し、感染を起こします。黄色ブドウ球菌などの細菌が感染すると、化膿が悪化し、強い炎症が起きます。

また、ニキビの原因となるアクネ菌は、もともと毛穴の奥に存在しています。潰すことで、これらの菌が周囲の組織に広がり、炎症範囲が拡大します。

爪で押し出そうとすると、爪の間に溜まった汚れや細菌も一緒に皮膚に押し込んでしまいます。爪は特に雑菌が多い部分なので、感染リスクが非常に高くなります。

道具を使う場合も同様です。針やピンセットなどを使っても、完全に消毒していなければ細菌感染のリスクがあります。また、道具の使い方を誤ると、余計に皮膚を傷つけてしまいます。

大人の肌は跡が残りやすい

成人の肌は、思春期の肌と比べて回復力が低下しています。これが、跡が残りやすい大きな理由です。

肌のターンオーバー(新陳代謝)は、20代以降、加齢とともに遅くなります。10代の頃は約28日周期でしたが、30代では約40日、40代では約55日と徐々に遅くなっていきます。ターンオーバーが遅いと、ダメージを受けた肌の回復も遅くなります。

また、コラーゲンの生成能力も低下します。コラーゲンは肌の弾力を保つ重要な成分ですが、加齢とともに生成量が減少します。コラーゲンが不足すると、傷が治りにくく、クレーターなどの跡も残りやすくなります。

成人の肌は、メラニンの排出も遅くなります。炎症によって生成されたメラニンが肌に留まる期間が長くなるため、色素沈着が起こりやすく、消えにくくなります。

さらに、乾燥しやすいのも成人の肌の特徴です。肌が乾燥すると、バリア機能が低下し、ダメージを受けやすく、回復も遅くなります。

思春期の頃は、多少無理に潰しても跡が残らなかった経験があるかもしれません。しかし、成人の肌は別物だと考え、同じように扱わないことが重要です。

細菌感染や炎症の悪化が起こりやすく、成人の肌は回復力が低く跡が残りやすいため、大人ニキビを潰してはいけません。

それでは、もし潰してしまった場合の対処法を見ていきましょう。

潰してしまった時の対処法

潰してしまった時の対処法は、すぐに清潔にして消毒し、炎症を抑えるケアを行い、その後は絶対に触らないことです。

すでに潰してしまった場合は、被害を最小限に抑えるための適切な処置を行いましょう。

応急処置の方法

まず、すぐに手を洗いましょう。潰した後も手についた細菌が残っているため、これ以上触れないように清潔にします。

潰した部分を清潔な水で優しく洗い流します。ゴシゴシこすらず、流水で汚れや出てきた膿を洗い流す程度にしましょう。

清潔なティッシュやガーゼで、軽く押さえて水分を取ります。こすらず、優しく押さえるだけにしてください。

消毒液がある場合は、適量を清潔なコットンに含ませて、患部に軽く当てます。ただし、アルコール消毒液は刺激が強いため、低刺激タイプの消毒液を選ぶと良いでしょう。

抗炎症成分が配合されたニキビ薬があれば、薄く塗ります。患部だけに塗り、広範囲に塗りすぎないようにしましょう。

出血がある場合は、清潔なガーゼで軽く押さえて止血します。強く押しすぎると、さらに組織を傷つけるため注意してください。

膿や血が完全に止まるまで、絶対に触らないようにしましょう。気になっても、我慢することが大切です。

その後のケア

潰した直後だけでなく、その後のケアも重要です。

当日のスキンケアは最小限にしましょう。洗顔は優しく行い、患部は特に刺激しないようにします。化粧水と乳液で保湿する際も、患部を避けるか、非常に優しく塗りましょう。

翌日からは、通常のスキンケアに戻しますが、患部への刺激は最小限にします。完全に治るまで、スクラブ洗顔やピーリング剤は使用を避けましょう。

患部を触らないことが最も重要です。治りかけの時期は特にかゆみを感じやすいですが、掻いたり触ったりすると跡が残りやすくなります。

メイクをする場合は、できるだけ患部を避けましょう。どうしても隠したい場合は、薬用のコンシーラーなど、肌に優しいものを選び、薄く塗ります。帰宅後は早めにメイクを落としましょう。

紫外線対策も重要です。炎症が起きた部分は、紫外線によってメラニンが生成されやすく、色素沈着のリスクが高まります。日焼け止めを使用し、できれば帽子や日傘も併用しましょう。

完全に治るまでは、刺激の強い食べ物やアルコールは控えめにし、十分な睡眠を取って肌の回復を促しましょう。

すぐに清潔にして消毒し、炎症を抑え、その後は触らないというケアを行うことで、潰してしまった場合の被害を最小限に抑えられます。

次に、潰さずに治す正しいケア方法を見ていきましょう。

潰さずに治す正しいケア方法

潰さずに治す正しいケア方法は、適切なスキンケアを行い、生活習慣を改善し、時間をかけて自然に治すことです。

すぐに治したい気持ちは分かりますが、焦らず正しいケアを続けることが、跡を残さない最善の方法です。

スキンケアでの対処

洗顔は朝晩の2回、優しく行いましょう。低刺激で肌に優しいタイプの洗顔料を選び、しっかり泡立てて、泡で包み込むように洗います。ニキビの部分も特別扱いせず、他の部分と同じように優しく洗いましょう。

すすぎはぬるま湯で丁寧に行います。洗い残しがあると毛穴詰まりの原因になるため、特に生え際やフェイスラインは念入りにすすぎましょう。

保湿は十分に行いましょう。洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで水分を閉じ込めます。ニキビがあっても保湿は必要です。ノンコメドジェニックタイプのアイテムを選ぶと安心です。

ニキビ薬を使用する場合は、使用方法を守って適量を塗ります。塗りすぎは肌に負担をかけるため注意しましょう。

炎症が強い場合は、抗炎症成分が配合されたスキンケアアイテムを取り入れることも効果的です。グリチルリチン酸やアラントインなどの成分が配合されたものを選びましょう。

患部を冷やすことで、一時的に炎症を抑えることができます。清潔なタオルを冷水で濡らし、軽く絞ってから患部に当てます。冷やしすぎないよう、5〜10分程度にしましょう。

生活習慣の改善

睡眠をしっかり取りましょう。睡眠中に分泌される成長ホルモンが、肌の修復や再生を促進します。1日6〜8時間の睡眠を確保し、規則正しい生活リズムを心がけましょう。

食生活を見直しましょう。ビタミンB群、ビタミンC、亜鉛などの栄養素は、肌の健康を保つために重要です。野菜、果物、魚、大豆製品などをバランスよく摂りましょう。脂っこい食事や甘いものは控えめにします。

水分補給をこまめに行いましょう。1日1.5〜2リットルの水を目安に摂取することで、老廃物の排出を促し、肌の回復を助けます。

ストレスを溜めないようにしましょう。ストレスはホルモンバランスを乱し、ニキビを悪化させます。適度な運動、趣味の時間、リラックスできる時間を持つことが大切です。

枕カバーやタオルを清潔に保ちましょう。これらは顔に直接触れるため、雑菌が繁殖していると肌トラブルの原因になります。こまめに交換しましょう。

焦らず待つことも重要です。ニキビは、適切なケアを行えば1〜2週間で自然に治ります。すぐに効果が見えなくても、継続してケアを続けることが大切です。

適切なスキンケアと生活習慣の改善、そして時間をかけて自然に治すことが、潰さずに治す正しい方法です。

最後に、専門家に相談すべき症状についてお伝えします。

専門家に相談すべき症状

専門家に相談すべき症状は、潰した後に悪化している、跡が残りそう、膿が止まらない、繰り返し同じ場所にできる場合です。

以下のような状況にある場合は、自己ケアだけでなく、早めに専門家に相談することをおすすめします。

潰した後に悪化している場合 潰してから数日経っても改善せず、むしろ腫れや赤みが増している場合は、感染が起きている可能性があります。早めに受診し、適切な治療を受けましょう。

強い痛みや熱を伴う場合 触らなくても痛みがある、患部が熱を持っているなど、重度の炎症が起きている場合は、抗生物質などの処方が必要な可能性があります。

膿や出血が止まらない場合 潰してから時間が経っても、膿や血が出続ける場合は、深い部分まで傷ついている可能性があります。感染のリスクも高いため、早めの受診が必要です。

跡が残りそうな場合 クレーターになりそう、色素沈着が濃くなっているなど、跡が残る兆候がある場合は、早めに専門家に相談することで、跡を最小限に抑える処置を受けられます。

繰り返し同じ場所にできる場合 潰しては治り、また同じ場所にできるというサイクルを繰り返している場合は、根本的な治療が必要です。専門家に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

複数のニキビを潰してしまった場合 一度に複数のニキビを潰してしまった場合は、感染リスクが高く、跡も残りやすくなります。専門家に診てもらい、適切なケアを受けることをおすすめします。

過去に潰して跡が残った経験がある場合 以前に潰して跡が残った経験がある方は、今回も跡が残るリスクが高いです。早めに専門家に相談し、跡を防ぐための処置を受けましょう。

潰したいという衝動が抑えられない場合 どうしても潰したくなる、何度も繰り返してしまうという場合は、専門家に相談することで、正しいケア方法を学べるだけでなく、心理的なサポートも受けられることがあります。

大人ニキビを潰すと、跡が残る、炎症が広がる、悪化するなど多くのリスクがあり、成人の肌は回復力が低いため特に跡が残りやすくなります。潰さずに適切なスキンケアと生活習慣の改善で自然に治すことが最善ですが、潰してしまった場合や症状が悪化する場合は、ご相談ください。